理事長所信


 
 「 不 易 流 行  ~新たなる時代、受け継がれる意志~」
 北海道という土地には、旧石器時代から人々の営みがあったことが分かっているが、その時代に「日本人」という概念が存在しないことは明らかである。では、彼らには信仰という概念はあっただろうか。今となっては知るすべもないが、想いをめぐらすことはできる。原始的なアニミズムにおいて神羅万象は、尊敬と畏怖の対象であり、人生を全うする上で常に感謝の対象でもあったはずである。日本人の民族としての精神性を問いたとき、そこには「和」という言葉が浮かぶ。それは、個性を重視するのではなく、調和と秩序、礼や作法を重んじるということであり、「感謝」を礎とする心構えである。

 グローバルな価値が混沌と渦巻くこの時代だからこそ、自らのルーツを見つめ直し、地域の発展のために結び付けるべきではないだろうか。
「これらは止めることができないものだ。『受け継がれる意志』『時代のうねり』『人の夢』
 人々が自由の答えを求める限り、それらは決して止まることはない。」

 はじめに
 日本青年会議所が創立した1951年から67年。高き志を胸に抱き、1957年に36名の青年によって創立された倶知安青年会議所は、61年の歳月を歩んできた。2018年現在、会員数はちょうど半数の18名となった。この国の未来を憂い、地域の発展を担う青年経済人の運動は様々なカタチで展開され、「明るく豊かな社会」を築きあげてきた。我々もまた急速に変化していく激動のなかで、足掻き続ける日々に追われている。向き合うことを拒み、踏み出す足を止め、できない理由を探すことに没頭している。いつも変化は容易く日常に押し入ってくる。周到に準備して立ち向かうことは難しい。だからこそ、振り向かずに進む必要があるのではないか。「若さ」とは、そういう力ではないか。一人ひとりがさらなる志を持って、自らの可能性を信じ、覚悟をもって挑戦する。そうすれば、創立期の先輩諸兄の高き理想と次代の新たな価値観を融合した活動ができるだろう。いつの時代もその行動が求められている。

 
 2018年度倶知安青年会議所はスローガンとして
      『  不 易 流 行  ~新たなる時代、受け継がれる意志~ 』
                                    と掲げる。
 【不 易 流 行】「不易」は「千歳不易」永遠不変の姿。「流行」は「一時流行」で時代に応じて変わりゆく様。その二つは根本において同じであるという考え方。半世紀にも渡る青年会議所運動は時代により変化し、そのプライオリティーも様々である。しかし、地域に対する社会開発理念や、他の利益のために奉仕する姿勢は一貫して根幹に脈打ち、問題構造への提起は歴代に続く思想であると考える。また、移りゆく時代の価値観は慣習や常識という言葉を軽々と飛び越えてゆく。人々の生活の中に錨やコンパスがなくなってしまったかのような錯覚にすら陥るほどである。それらに変化対応しながらも、伝統や文化と呼べるものを維持保護し、次代へと継承したいと考えるのはただの感傷ではないはずだ。今も色褪せることなくこの地域で輝き続けている先輩諸兄の軌跡をなぞり、新しい時代の理想を掲げながら、住民と将来へのビジョンを共有できるように運動を展開したい。

 まちづくり-地域の現状と社会開発-
 倶知安町はいまや全国から注目されるまちになった。ひらふ地区のリゾート開発は勢いを止めず、道内一の都市でも参入していないリゾートホテルチェーンが開発に参入し、トリップアドバイザーの全国ランキング3位、地下上昇率1位など話題に事欠かない。また、北海道新幹線の延伸工事、高規格道路の工事着工決定など観光、経済、インフラ整備が一気に加速し始め、一見明るい展望のように思える状況である。しかし、滞留人口は増加していない。出生率は高い数値だが、高齢化が抑制できているわけではなく、後継者のいない個人商店は減少が進み、商店街には閉店が目立ち始めている。
 元々、この地域は旧石器時代の昔から広大な北海道の中で、交易地点としての役割を持ち、近代では国鉄時代には西の中継地として栄え、また現代では後志総合振興局や自衛隊駐屯地を置き、行政の中心地として人々が交錯する「町」である。流入する新しい世代が多ければ、経済循環はスムーズに流れてゆくが、地域に対して執着する意識は薄れてゆく。町内会や土着の催事への参加者は増えてはいないように感じる。本当の意味で文化風習に触れるものが少ないのだ。であるならば、我々は人々の愛着心を醸成し、このまちの文化や風習に対して触れ合う機会を増やしていかなければならない。一人でも多くの人がこの場所で生活したいと思うように。今こそ、地域の発端や文化の起源の成り立ちを改めて学び、身近にあるものをより感じられるように次代へ紡ぎたいと思う。現代では、誰もがリスクを恐れ、触れ合う機会を減らしている。失われた時間は戻らない、変わっていく価値観を押しとどめることもできない。ならば、新たに付加価値をつけることを模索し、ここで生きる人々が楽しみながら学ぶ方法を考えたい。このまちに住むすべての人々を笑顔にできる資源はきっとまだ埋まっているはずだ。
 ひとづくり~人財育成と指導力開発~
 私が3年間という活動経験の中で最も感じたのは、青年会議所活動には明確なマニュアルがないということだった。「何を行う団体なのか?」という問いに答えは詰まるばかりだった。
「人の役に立つことを習慣とし、やりがいのある活動に参加することを慎重なる人生設計の中にいれるのがよろしい。それについてはなんの疑いもない。人間性への奉仕は人生最良の仕事なのであるから。」JCI CREEDにはそういった解釈の一文があり、他者へ、また社会への奉仕が自らの糧となることをうたっている。理事会で用いられるロバート議事法にのっとった会議形態は、議題に対してスムーズな進行を促すのに最適化されており、様々な役職が担当案件についてまとめ、審議にかけていくプロセスは、一度学べばどのような場所でも役立つだろう。
さらに、JCI MISSIONには、「青年が積極的な改革を想像し、開拓するために、能動的な活動ができる機会を提供する。」とある。これらの意味を咀嚼し、行動に変えてこそ真にリーダーシップを発揮する人財を育成できるのではないだろうか。近年における会員減少の原因は、そうした活動の不明瞭さと内部の会員育成の簡素化が一つの要因である。したがって、我々は一度原点に回帰し、明確なルールを提示すべきであると考える。青年会議所が持つ使命・目的・組織体系・方法論そして手法と検証。規則的なプログラムの構築された上にこそ、改革の礎は成り立つと私は考える。我々自身が、自らを変革できなくて、どうして地域を変革できる人財を育成できるだろうか。組織を強化する上でも、また地域に必要とされるためにも、さらなる自己研鑽が必要である。会員相互が気軽にコミュニケーションをとりながら、明日を、未来を語り合うことで切磋琢磨しながら、個々の資質向上と人間力の形成に繋げたい。
 積極的な情報発信による組織力強化-JCの価値を高める-
 「近代における情報発信のあり方は、ICT化の進行により、容易に世界中へ伝えることが可能になった。我々が取り組んでいる運動を外部に向けて適宜発信することは必要不可欠であり、組織のブランディングを高めていくことにも必ずつながってくる。公のためにしている尊い運動を対内外に周知してもらい、存在価値を高めていくことができれば、必然的に組織の価値は向上し、多くの人財が入会してくることにもつながっていくと確信している。」
 2018年度公益社団法人日本青年会議所会頭池田祥護君の会頭所信にこのようにあるが、組織力を強化するためには情報の収集・拡散が鍵を握る時代になった。同時に、あらかじめ得られる知識が多くなったことにより実際に行動する機会が減って来ているように感じられる。「知識」とは、「知」と「識」に分かれ、「知」は情報、「識」は経験という解釈がされる。これらは、ひとつでは意味がなく、両方合わせて初めて身に着く。組織とは、「個」の集合体であり、組織力を高めていくためには、会員個々の主体的な参画と会員同士の深い交流が必要不可欠である。一人一人の多様な「個」をぶつけ合い、歩みよって「知識」と理解を深め、より強固な信頼関係を構築していきたい。強く結ばれた絆は、力強く運動を展開する原動力となり、真に地域の発展のために取り組んでいけると信じている。
 【会員拡大】~志を同じくする同士を求めて~
 全国的に鑑みても、青年会議所の新入会員は伸び悩んでおり、減少の一途を辿っている。その背景には、若手経営者の減少、後継者不足、個人商店減少などがあげられる。他の地域には、この問題に対応すべく「家族会員」や「賛助会員」など会員の枠を広げる動きも見える。様々な可能性を広げながら、まずは埋もれている人財の発掘が最優先ととらえ、今年度は、「会員拡大室」を設ける。幸いなことに町内には、新規開業者も少なからず増えている。この点も考慮し、我々と志を共に歩んでくれる同士、または企業を積極的に開拓、勧誘していく。
 【ガバナンス強化】~LOM内育成支援として~
 現在、入会3年未満の会員が、理事会員の半数を占めることを鑑みて、「ガバナンス強化」の必要性が明確になってきた。歴代の先輩諸兄が試行錯誤を重ねて構築してきたルールや思想をより正確に伝えていく場面を作り、積極的に共有したい。組織としてのピースをより多く生産していくことは、面を完成させる上で必要不可欠な要素であると考える。
 結びに
 窓から見える旭ヶ丘公園には、国体時代の名残を讃えたジャンプ台がシンボリックに佇んでいる。脇にある展望台から町内を見渡せば、人差し指と親指でつくったフレームになんなく収まってしまう「スキーの町くっちゃん」。子供の頃は、「小さくて何もないまち」だと思っていた。それがいまや、刻一刻と変化し、ひらふ地区の景観は、1年とたたないうちに見たことのない風景になっていく。もう「何もないまち」ではなくなってしまった。時代のうねりは、この町を何度も飲み込んできたのだろうが、こんな大きな波は古今未曾有だろう。しかし、どんなふうに変わろうと私はこの町を愛している。自らを生み育んでくれたこの町に住む人々を愛している。今自分があるのも、沢山の人たちとの関わりがあるからこそである。それらの感謝を少しでもカタチにしたくて、倶知安青年会議所に入会し4年目。私は第62代目の理事長として、組織を率いることになった。「なんでもできる。」と先輩に言われ、意気揚々としていたこともあったが、多くの壁が立ちふさがり、思うようにはいかない日々が続く。疲れに、迷いに足を止め、挫けそうになるたびに、誰かが手を差し伸べてくれた。「JCでは、困ったときには必ず助けてくれる人があらわれる。」これも先輩に言われた大事な言葉であり、そして真実だった。人生の中には、誰しも思いがけないことが起こるものだと思う。それが、望むべくして訪れるわけではないだろうが、一生に一度の機会ならば恐れずに挑戦してみようと思う。
 青年会議所の意義というものをずっと考えてきた。「自分にならできる、自分にしかできないこと。」を探していた。我々を取り巻く環境は様々で、全てを良くしていくのは難しいかもしれない。でも、答えを出すことを焦る必要はない。今、目の前にあるもの一つ一つに全力で立ち向かっていけば、きっと道は自身の解答に続いていくだろう。一歩踏み出せば、そこには必然的な出会いがあり、素晴らしい気付きや学べることへの感動がきっとある。

 どんな難題が立ちふさがったとしても

   「お前は最後まで、それでもと言い続けろ。」

 全ての善意が良い結果を生むとは限らない。けれど、全ての理想はすべからく善意から始まるべきである。今自らを取り巻く環境に、いままでとこれから訪れる、あらゆる出会いに感謝し、不屈の精神を養い、覚悟を持って挑戦しよう。

~限りなき可能性を信じて~

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